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ズートピア

ウォルトディズニーアニメーションスタジオ作品「ズートピア」。55作目の長編アニメーションです。

ウサギの警官ジュディとキツネの詐欺師ニックが、動物たちの楽園・ズートピアで巻き起こる事件を解決するバディアクション。

予告を初めて見たその日からむちゃくちゃ面白そう!と期待度上げまくり&日本未公開の時点ですでにベイマックスの記録を抜いたと聞いて、ハードルMAXの状態で勇んで観たんですが、それでも裏切らない素晴らしい映画でした。

差別や偏見というテーマを扱っていますが、重くならずメッセージを伝え、そのうえきちんとエンターテイメントにまとめています。なによりとても計算しつくされた脚本がすごい。仕掛けられた伏線がここで?!という部分で回収されるのが気持ちがいいです。天丼演出も最高。ストーリーに関係ないものは存在しないのでは?と思うくらい無駄がなく、なによりキャラクターが可愛い!!

ディズニーは今まさに第三黄金期です。スクリーンで観ないともったいない!そうひしひしと感じさせてくれる映画です。

 

これより先はネタバレを含んだ感想とだらだらとした考察です。ご注意ください。

 

ディズニーの動物を擬人化した作品はまさにお家芸。しかし近年ではチキンリトル以来制作されていませんでした。ジョンラセター体制になってからは初。登場人物を動物にすると、シビアなテーマにおいて年齢層の間口を広げるだけではなく、共感の間口を広げる効果もありますよね。人間で描くよりも動物のほうが自分を当てはめて共感しやすいのでしょう。

様々な動物が共存するズートピアはまさにアメリカそのもの。農民の子は農民にしかなれない国とは違い、夢を追い続ければそこでは誰でも、なんにでもなれる。農民が大金持ちに、ウサギが警察官に、フィネックもゾウになれる場所。

ジュディは小さなころから警官になるという夢があり、それを叶えるため奮闘します。やがてジュディは夢を掴みますが、現実は彼女に優しくはありませんでした。前半はジュディが偏見と闘う姿を描き、観客もその姿を応援します。

ズートピアでは14件の行方不明事件が起こっており、ジュディはニックと一緒に騙し騙され捜査をしていきます。やがてふたりには絆が芽生え、かけがえのない相棒へと関係が変化していくのです。

しかし、物語の前半であれほど偏見と戦っていたジュディは「肉食動物は本能が抑えられない危険な存在なのかも」と発言し、今度は偏見を持つ側へと立場が逆転してしまいます。

それはジュディが幼いころギデオングレイに顔をひっかかれたことが原因のひとつ。だから出勤初日に家を出たあと、迷った末にキツネ避けスプレーを手に取ってしまう。過去の記憶と経験、そして育てられた環境。ジュディの中で積み上げられた固定観念がとてもリアルだと思いました。

極めつけに「ニック、あなたは他とは違うわ」この差別以外のなにものでもない言葉がふたりの絆を割く決定的な言葉となってしまいます。そして観客たちも気付くのです。ジュディのように自分たちも知らず知らず固定観念や決めつけを持っているということに。

その後事件の真相が明らかになるわけですが、この事件についてちょっと整理しようと思います。物語で語られていない部分も多く、脳内補完してるところもあるのでご注意を。

行方不明になっていた動物たちは狂暴化し、ライオンハート市長の指示で施設に隔離されていました。ライオンハート市長は「市民を守るためにやった」と言っていましたが、狂暴化しているのは肉食動物ばかり。肉食動物である自分の地位を守るためでもあります。この辺作品では特に語られていませんでしたが、市長に狂暴化した動物を隔離するようアドバイスしたのは黒幕であるベルウェザー副市長だったのでしょう。もちろん市長を免職させるのが目的。彼女はかなり計算高く、しかも自分の手を汚さないタイプの悪役でしたよね…。事件を早期解決するようにボゴ署長に言ったのも副市長だったのかな。

オッタートンさんは花屋なので夜の遠吠えの特性をもともと理解していて、闇ルートで高値で取引されていることを知る。花を卸してたビックに相談しようと迎えにきてもらったところを襲われるという流れ。花屋で妻子持ちでヌーディストグラブに通い、闇社会のボスと知り合いで街の隠謀にいち早く気付く濃キャラオッタートンさん……。

ジュディが捜査を進め、副市長は彼女に協力します。副市長は草食動物のジュディに早く施設を発見し、狂暴化した肉食動物、そしてそれを意図的に隔離していた市長を暴いてほしかった。彼女は街中をカメラで監視しているため、ジュディの行動は筒抜けだったんですね。オッタートンさんや運転手のマンチェスさんが襲われたのも、ラストシーンでタイミングよく博物館に現れたのもそのせい。

副市長の思惑通り施設が発見され、市長は免職、副市長は市長の座に収まります。肉食動物は危険だとジュディが記者会見。ちなみに記者の中に副市長の仲間のヒツジが紛れ込んでます。そこでジュディに優しく声をかけたセリフ「とってもよかったわ」に繋がるんですね~おお怖い怖い…。

そういえばニックの持っているトラウマは、自分は他人を傷つける気はないのに、危ないやつだと言われて大人数に押さえつけられたこと。これってまさにズートピアで副市長がやろうとしていたことなんですよね。ニックは誠実に生きたいけど周りがそうさせてくれず、傷つくことをやめて詐欺師になる…ううニック…;;

こうしてジュディとニックの活躍で動物たちの楽園ズートピアは守られます。エンドロールはガゼルの曲に合わせてたくさんの動物たちが一緒に楽しく過ごしていました。

ジュディは演説でこう問いかけます。「あなたはどんな動物ですか?」