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SHERLOCK S3E2「三の兆候」のスピーチあれこれ

BBC制作ドラマ「SHERLOCK」S3E2「三の兆候」にてシャーロックが親友ジョンの結婚式にベストマンとしてスピーチをするんですが…いや、なんならこのエピソードはほぼスピーチによって構成されるんですが。

そのスピーチにいたく感動し、自分用にメモしていたものを先日発見しましたので記事にしてみました。貧乏性!

 「正直言って何を言われたかすぐには分かりませんでした。ついに理解したときは光栄だし驚きだと伝えて、まったく予想もしていなかったのでいささか気後れもしていると説明し、こんな大役はなかなかないが最善を尽くすと、そこまで信頼してくれて光栄だと感謝の意を伝え、ひょっとすると少しばかり感動に近い状態になっていたかもしれないと、そう告げたつもりだったのですが実際にはなにひとつ一切口に出していなかったと後になって知りました」

「ジョン、残念ながらおめでとうとは言えない。全ての感情、特に愛情は、僕がなにより重視する冷徹な論理とぶつかるものだ。結婚など僕に言わせれば、この病んで道徳的に破綻したこの世界におけるあらゆる無意味で空虚で非合理的で感傷的なものを祝うに等しい。本日我々は死番虫を称えているのです。この社会の破滅をもたらす、そしておそらく確実に私たち人類の破滅を……まあいい、ジョンの話をしよう」

「僕が冒険するにあたってささやかな助手というお荷物を背負うのは、感傷や気まぐれが理由ではありません。それは、ジョンが僕に夢中になるあまり見過ごしてしまっている、優れた長所をいくつも備えているからです。僕の知力や明敏が高く評価されているとするならば、それはジョンが際立った対比を実に無私の心で提供してくれるからであって、それは言うなれば花嫁が大事な日に、とりわけ地味な友人をブライズメイドに選ぶようなものです。ここにはアナロジー(類似)が成立していると思います」

「そもそも対比というのは、あらゆる創造物の美しさを際立たせようとする神自らの御心なわけです。というか、そうだったはずです。神が、一族の馬鹿者に職を与えるため作り出された馬鹿げた妄想でなかったなら」

 言い出しの混乱っぷりがすごいですが…前半はいかにもシャーロックらしい言葉で始まります。

「残念ながら祝福できない。全ての感情や愛はくだらないし、結婚なんてもう最悪」「花嫁がブライズメイドに地味な子を選ぶように、僕の知力や明敏が高く評価されているのはジョンがアホだからそう見える。だからジョンを助手にしている。対比とは神様がくれた美しさを際立たせる御心なんだ」というかんじ。

「何が言いたいかというとつまりこうです。僕は不愉快で無礼で無知で、全面的に傲慢なクソ野郎です。こんな僕と出会ってしまった人は本当に不幸だ。僕は善いものを馬鹿にして切り捨てるし、美しいものに気づかないし、幸せを前にしてもそれが理解できない」

そして「つまり僕は不愉快な奴だ」と言い「僕は善いものを馬鹿にして切り捨てるし、美しいものに気づかないし、幸せを前にしてもそれが理解できない」と続く。これは、善いもの=ジョン、美しいもの=花嫁で、幸せ=結婚のことかな。

「僕はこんな人間なので、ベストマンになって欲しいと言われて理解できなかったのは、誰かの一番の親友になるとか考えたこともなかったからです。まして誰より勇敢で優しくて賢い、こんな素晴らしい人の親友になれるだなんて」

「ジョン、僕は馬鹿げた男だ。君の温かくて一途な友情によってのみ、赦されている。ジョン、僕を一番の親友だと言うのだから、今までは『いい人を選んだね』と祝ってあげられなかったけれども……でも、これからはもう言える」

 「そんな僕を赦してくれたのはジョンの温かな友情によってのみ」と最初に「全ての感情や愛はくだらない」と否定していた感情への肯定をする。自分はこんな人間だから、誰かの親友になれるとは思わなかったけど、ジョンは赦して選んでくれた。シャーロックは誰かの親友になったことで、自分のことを少しマシな人間に思えたんですよね。

そして「ジョンはこんな僕を一番の親友に選ぶ(相棒を選ぶ才能がない)奴だから、今までは『いい女性を選んだね』と祝ってあげられなかったけれども…でも、これからはもう言える」この部分も自分自身への肯定。

要するに、自分の人間性が最低なのではなくジョンという人間が素晴らしいからだという対比なんだよね。だからもちろんジョンが選んだ女性も彼にふさわしい=だから祝ってあげられる。

「メアリー、この男は君にふさわしいと僕が言うのは、それは君に対して僕が言える最大級の賛辞だ。ジョン、君は戦争と怪我と、そして悲しい別れに耐えてきた――最後のについては改めてごめん」

そしてスピーチの最後はこう締めくくられます。

「ジョン、君は今、妻にした女性と、君が救った男の間に座ってる。つまり、この世で最も君を愛する2人だ。そしてメアリーも同じことを言うと思うけれども、僕たちは決して君をがっかりさせたりしない。これから一生をかけてそれを証明していく」

 うーんなんてすばらしいんだ;;泣ける…;;

この締めくくりの言葉もそうですが、ジョンが選んだというのがE3の伏線になることも重要。

シャーロックは今ちょうどS4を撮影中とのこと。楽しみです!